警備員の新任教育で出会った「ボロロ」と老紳士の話

前回、アヒルの面接会編はコチラ

「警備員の新任教育って何をするの?」

「怒鳴られたり、厳しかったりする?」

「未経験でもついていけるのかな……」

これから警備員の仕事を始める人ほど、新任教育に不安を感じると思います。

結論から言うと、新任教育は決して楽ではありません。

ただ、必要以上に怖がる必要もありません。

警備員として現場へ出る前に、 最低限の法律・基本動作・安全知識を学ぶための大切な時間です。

現在、一般的な警備員の新任教育は20時間以上行う必要があります。

私が入った当時は30時間で、

  • 8時間
  • 8時間
  • 8時間
  • 6時間

という4日構成でした。

現在は20時間になっている会社が多く、

  • 7時間
  • 7時間
  • 6時間

の3日構成などで行う会社もあります。

ただし、教育時間の組み方は会社によって違います。

この記事では、私が実際に受けた新任教育の体験談を交えながら、 警備員の新任教育の内容・きついポイント・実技・座学のリアルについて解説します。

なお、途中から変な人が出てきます。

いや、かなり変な人が出てきます。

でも、全部実話です。

目次

警備員の新任教育とは?未経験でも現場へ出る前に必ず受ける教育

警備員は、採用されたらすぐ現場へ出られるわけではありません。

警備業法により、警備員として働く前には「新任教育」を受ける必要があります。

教育内容は会社や警備区分によって違いますが、主に次のような内容を学びます。

  • 警備業法
  • 関係法令
  • 事故対応
  • 基本動作
  • 敬礼や礼式
  • 無線機の使い方
  • 誘導灯・旗の扱い
  • 現場での安全管理
  • トラブル対応

未経験者からすると、

「なんか難しそう……」

と思うかもしれません。

安心してください。

難しいです。

しかも眠いです。

めちゃくちゃ眠いです。

私は新任教育初日、少しだけ変な覚悟ができていました。

なぜなら、面接でアヒル口のおじさんに警備業界の濃さを叩き込まれていたからです。

もう多少のことでは驚かない。

そんな謎の自信すらありました。

そして迎えた、新任教育初日。

「おはようございます!」

ガチャリ。

そこに居たのは、無表情で鋭い眼光を放つ男でした。

能面より能面。

……アヒル、どこいった。

警備員の新任教育は座学がかなり眠い

警備員の新任教育では、座学を長時間受けます。

特に最初は、

  • 警備業法
  • 関係法令
  • 基本教練
  • 事故対応

など、聞き慣れない言葉が大量に出てきます。

これが、なかなか頭に入らない。

さらに、私を担当した教官は、とんでもない能力を持っていました。

「ボロロロロロ……」

抑揚ゼロ。

覇気ゼロ。

感情ゼロ。

たまに「ふふ」と笑う。照れ屋か。

知っていますか?

抑揚のない音読は、お経より眠くなるんだぜ?

ボロロは、警備業法を感情のない低周波として脳へ流し込んできました。

眠い。

めちゃくちゃ眠い。

昼食後なんて、もはや生死の境をさまよっていました。

まぶたが戦闘不能です。

ただ、新任教育で教わる内容は、実際に現場へ出るとかなり重要です。

特に警備業法や事故対応は、 「知らなかった」では済まない場面があります。

だからこそ、眠くても聞かなければならない。

ボロロとの戦いは、自分との戦いでもありました。

警備員の新任教育は実技になると空気が変わる

しかし、不思議なことに、実技が始まるとボロロは急に変わりました。

無線機を持った瞬間、急に動きがキレ始めたのです。

声が通る。

動きに迷いがない。

説明も短くて分かりやすい。

『さっきまでの抑揚、どこ行った?』

旗の振り方。

誘導灯の扱い。

規制の基本。

無線の使い方。

実技になると、急に「現場の人」になる。

なるほど。

これが現場叩き上げの人間か。

私は少し感動しました。

いや、眠かったけど。

警備員の新任教育は、座学だけでなく、実際に体を動かして覚えることも多いです。

特に交通誘導系では、

  • 誘導灯の振り方
  • 旗の扱い
  • 車両誘導
  • 無線連絡
  • 規制設置

などを実際に練習します。

最初はぎこちなくても大丈夫です。

未経験なら、みんな最初は変な動きになります。

安心してください。

私もかなり変でした。

警備員の新任教育で大事なのは完璧さより姿勢

新任教育を受けると、

「全部覚えないといけない」

と思う人もいます。

もちろん覚える努力は必要です。

ただ、最初から完璧な人なんてほとんどいません。

それより大事なのは、

  • 話を聞く姿勢
  • メモを取る姿勢
  • 安全意識
  • 分からないことを確認する姿勢

です。

警備の仕事は、慣れていない新人が危険な行動をすると、本当に事故につながります。

だからこそ、

「分かったふり」

これが一番危ない。

逆に、

「すみません、もう一回お願いします」

と言える人のほうが、現場では成長しやすかったりします。

新任教育最終日に出会った“本物の教育者”

ボロロに2日間しごかれ、心も体も少しずつ警備員になり始めたころ。

新任教育最終日。

「おはようございます!」

ガチャリ。

そこに居たのは、穏やかな笑みを浮かべた初老の紳士でした。

立ち姿が静かでした。

声も落ち着いている。

物腰もやわらかい。

なのに、話し始めると妙に説得力がある。

むぅ…逆に不安だ。

その紳士は、3日間のおさらいを淡々と進めていきました。

だが、これが驚くほど分かりやすい。

余計な話をしない。

大事なところだけ、少し間を置く。

こちらが理解しているかを見ながら進めてくれる。

教育専門でやっている、警察官OBのようでした。

私は思いました。

『全部この人で良くない?』

なんなら、この1日だけでも良くない?

警備濃度の薄さと、キャラの濃さは反比例するのかもしれません。

まとめ:警備員の新任教育は眠い。でも大事な20時間

警備員の新任教育は、正直に言えば楽ではありません。

座学は眠いです。

かなり眠いです。

実技も、最初はうまくできません。

ただ、新任教育は、現場へ出る前に必要な知識と安全意識を学ぶ大切な時間です。

現在の教育時間は20時間以上が一般的ですが、会社によって構成は違います。

私の時代は30時間でした。

その中で私は、

  • アヒル口のおじさん
  • ボロロ
  • 老紳士

という、濃すぎる人たちに出会いました。

そして気づけば、あれから15年以上。

借りてきたハムスターだった私も、教育する側になりました。

今でもたまに考えます。

自分はボロロになっていないか。

相手を眠りの世界へ旅立たせていないか。

そして、あの老紳士のように教えられているか。

正直、まだ全然届いていません。

でも、あの濃すぎる新任教育がなければ、今の私はいません。

だから今日も、眠気と戦う新人を見ながら、少しだけ思うのです。

『気持ちは分かる。でも、ここ大事なんだよなぁ』

……と。

番外編、警備員にマトモな人っているの?

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この記事を書いた人

現役警備員として働きながら、警備業界のリアルを発信しています。
交通誘導・施設・雑踏警備を経験し、現在は管理職として現場と人材育成に携わっています。

保有資格:
・警備員指導教育責任者(1号・2号)
・交通誘導警備業務2級
・施設警備業務2級
・雑踏警備業務2級
・列車見張り(列車防護員)
・踏切監視員

これから警備員を目指す方や、現役で悩んでいる方に向けて「きついこともリアルに」分かりやすく発信していきます。

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