交通誘導のKY例|危険予知の書き方と現場別の記入例を解説

「交通誘導のKYには、何を書けばいい?」
「毎日同じような内容になってしまう」
「危険予知を書けと言われても、具体例が思いつかない」

交通誘導の現場では、作業前の朝礼や打ち合わせでKY活動を行うことがあります。
ただ、いざ用紙を渡されると、「車両事故に注意する」「周囲をよく確認する」くらいしか思いつかないこともありますよね。

結論から言うと、交通誘導のKYで立派な安全作文を書く必要はありません。
今日の現場で何が起きそうか、誰が何と接触しそうか、事故を防ぐために何を確認するかまで書ければ大丈夫です。

この記事では、片側交互通行、工事車両の出入り、後進誘導、通行止め、無線連絡、熱中症など、交通誘導で使いやすいKY例を紹介します。
今日のKYへすぐ使いたい人は、最初の短文例と記事後半のコピペ用テンプレートを使ってください。

目次

  【警備員の真夏対策】

真夏の警備は、本当に過酷です。
警備員は制服の関係で、暑くても簡単に服装を変えられません。

暑さでダウンしてしまう前に
『制服の下に着られる薄手のペルチェベスト』
などで、少しでも身体を冷やしてあげてください。

今年の夏も、無理だけはしないでくださいね。

交通誘導のKYとは?

KYとは、危険予知のことです。
その日の作業を始める前に、現場で起きそうな事故やトラブルを考え、どう防ぐかを共有します。

交通誘導で考えるのは、車同士の接触だけではありません。
警備員と車両の接触、工事車両と歩行者の交錯、車両突破、無線の聞き間違い、転倒、熱中症などもKYの対象です。

事故が起きた後に反省するだけではなく、作業前に事故の芽を見つけておく。
それがKYを行う理由です。

ホンネちゃん

「事故に注意する」だけでは、
何をするのか分からないワケ。
現場で取る行動まで決めておこう。

交通誘導のKYは、この5項目で整理すると書きやすい

KY用紙や進め方は、会社や現場によって違います。
この記事では、記入しやすいように次の5項目へ分けて考えます。
これが正式な唯一の書き方というわけではありません。

  1. 今日行う作業
  2. 起こりそうな危険
  3. 危険が起きる原因
  4. 事故を防ぐための対策
  5. 全員で守る行動目標

今日の用紙へすぐ使える短文例

現場危険予知の短文例行動目標
片側交互通行停止合図が伝わらず、車両が規制内へ進入する完全停止を確認して無線連絡ヨシ
工事車両出入口工事車両と歩行者・自転車が接触する歩道・左右・反対車線確認ヨシ
後進誘導誘導員が死角へ入り、後退車両と接触する死角へ入らず退避位置確認ヨシ
通行止め突破車両が工事区間へ進入する体で止めず即時無線ヨシ
無線連絡聞き間違いで両方向から車を流す聞き直しと目視確認ヨシ
熱中症暑さで判断力が落ち、体調不良を見逃す異変を感じたら作業を離れ即報告ヨシ

このまま使える例もありますが、交通量、天候、配置人数、作業内容に合わせて少し変えた方が現場に合ったKYになります。

悪いKY例と良いKY例の違い

内容が間違っていなくても、抽象的すぎるKYは実際の行動につながりません。

悪い記入例

車両事故に注意する。

これだけでは、どのような事故が起きるのか、警備員が何をすればいいのかが分かりません。

良い記入例

停止合図が運転手に伝わらず、車両が規制内へ進入する。
早めに停止合図を出し、車両の完全停止を確認してから相方へ無線連絡する。

こちらなら、起きそうな事故と、警備員が取る行動が分かります。
良いKYは文章が立派なのではなく、現場で何をするかが具体的なんですよね。

交通誘導で使える現場別のKY記入例

ここからは、交通誘導でよくある場面ごとに、危険・原因・対策・行動目標を紹介します。
会社や現場で決められた書き方がある場合は、そちらを優先してください。

片側交互通行のKY例

起こりそうな危険
停止させた車両が規制内へ進入し、反対側から来た車両と接触する。

原因
停止合図が遅い。
運転手に合図が伝わっていない。
車両が止まる前に、相方へ無線連絡してしまう。

対策
遠くの車両にも見えるように、早めに停止予告を出します。
運転手の様子、車両の速度、タイヤの動きを見て、実際に止まったところまで確認します。
そのうえで、「こちら停止しました」「まだ車列が続いています」「最後の車が入りました」など、現在の状況を相方へ伝えます。

行動目標
完全停止を確認してから無線連絡ヨシ。

停止合図を出した時点では、まだ車を止めたことにはなりません。
運転手へ伝わり、車両が止まったところまで見ます。

片側交互通行の基本的な流れは、「交通誘導のやり方|図解で学ぶ基本と「止める・伝える」の実践」でも詳しく解説しています。

工事車両の出入り誘導のKY例

起こりそうな危険
道路へ出る工事車両が、一般車、歩行者、自転車と接触する。

原因
工事車両ばかり見て、歩道や反対車線の確認が遅れる。
一般車を止める前に工事車両を動かしてしまう。

対策
工事車両を動かす前に、歩行者、自転車、左右の一般車、反対車線を確認します。
どこか一つでも見切れないなら、工事車両を一度止めます。

行動目標
歩道・左右・反対車線を確認してから誘導ヨシ。

大きなダンプが動くと、つい車体ばかり見てしまうんですよね。
でも、危ないのは車両の横から入ってくる自転車や歩行者だったりします。

作業車両の後進誘導のKY例

起こりそうな危険
後退する作業車両と、警備員や歩行者が接触する。

原因
運転手の死角へ入る。
車両へ近づきすぎる。
後ろ向きに歩き続けて転倒する。
退避場所を決めずに誘導を始める。

対策
誘導を始める前に、車両の進路と自分の退避場所を確認します。
車両の進路上や死角へ入らず、運転手から確認でき、すぐ退避できる位置を取ります。
後ろ向きに歩き続けず、足元も見られる向きで動いた方がいいです。

運転手との合図が途切れた時は、事前に決めた停止合図を出します。
車両が止まったことを確認してから、立ち位置と合図を整えて誘導を再開します。

行動目標
死角へ入らず、退避場所を確保して誘導ヨシ。

歩行者・自転車誘導のKY例

起こりそうな危険
歩行者や自転車が工事車両と接触する、または規制内で転倒する。

原因
警備員が一般車だけを見ている。
案内が遅く、自転車が止まらずに進入する。
足元の悪い通路へ案内してしまう。

対策
歩行者や自転車へ早めに声をかけます。
工事車両が動く時は、安全な場所で待ってもらい、通行幅や足元も確認してから案内します。

行動目標
車だけでなく、歩行者と自転車も確認ヨシ。

通行止め・車両突破のKY例

起こりそうな危険
通行止めを無視した車両が工事区間へ進入し、作業員や工事車両と接触する。

原因
通行止めや迂回案内が分かりにくい。
運転手への説明が遅い。
突破車両を体で止めようとする。
相方や工事関係者への連絡が遅れる。

対策
手前から通行止めが分かるように案内し、迂回路も事前に確認します。
車両が突破した場合は、正面へ立ったり、追いかけたり、体で止めたりしません。
「車両突破、そちらへ向かっています」と、まず相方や工事関係者へ無線で伝えます。

行動目標
突破車両は体で止めず、即時無線ヨシ。

一般車両に対する警備員の合図には、警察官による交通整理と同じ法的な強制力はありません。
止まらない車両へ無理に近づくと、警備員自身が事故に巻き込まれます。

ただし、工事現場内で運転手と誘導員が事前に決めた合図や、会社・現場で決められた手順まで軽く扱ってよいという話ではありません。
一般道路の車両へ行う誘導と、現場内で打ち合わせた合図は分けて考えた方がいいです。

無線連絡のKY例

起こりそうな危険
無線の聞き間違いにより、両方向から車両を進行させてしまう。

原因
頭切れ、騒音、短すぎる連絡、聞き取れなかったままの進行判断。

対策
停止状況や車列の状態を具体的に伝えます。
聞き取れなかった時は聞き直し、反対側を目視してから進行合図を出します。

行動目標
聞き直しと目視確認ヨシ。

無線が聞こえなかった時に、分かったふりをするのが一番危ないです。
車を少し待たせても、聞き直した方がいいです。

夏場の熱中症対策のKY例

起こりそうな危険
暑さで判断力が落ち、体調不良を見逃したまま作業を続けてしまう。

原因
水分や塩分が足りない。
休憩を我慢する。
本人が体調不良を言い出せない。
異変が起きた時の報告先や交代方法が決まっていない。

対策
作業前に、水分と塩分だけでなく、体調不良時の報告先、交代できる人、休憩場所、身体を冷やす方法まで確認します。
作業から離れる判断、緊急時の連絡手順、搬送先や救急要請の流れも共有しておいた方がいいです。

本人が異変を言えない場合もあります。
隊員同士で受け答えや動きを見て、様子がおかしい人がいれば、決められた連絡先へ報告します。

行動目標
異変を感じたら作業を離れ、決められた連絡先へ即報告ヨシ。

熱中症対策は、本人の根性だけでは解決できません。
休憩、交代要員、報告体制、冷却方法、緊急時の対応まで含めて準備する話です。

交通誘導のKYで見落としやすいのは「一点集中」

交通誘導では、何も見ていなかったというより、工事車両や停止車両へ集中しすぎて、歩行者や後方を見落とすことがあります。

KYには「周囲を確認する」ではなく、「工事車両を動かす前に、歩道・左右・反対車線を確認する」のように、見る場所まで書いた方が役立ちます。

無理な配置や複数作業もKYに入れる

事故の原因を、警備員個人の注意不足だけで終わらせない方がいいです。
配置人数や作業のさせ方に無理がある場合もあります。

  • 1人で片側交互通行と工事車両の出入りを同時に行う
  • 離れた場所の歩行者誘導と車両停止を同時に任される
  • 休憩交代がなく、長時間集中し続ける
  • 無線が届きにくいのに、そのまま作業を始める

作業を始める前に、「この人数で本当に見切れるか」まで確認した方がいいです。
無理があるなら、勝手に何とかしようとせず、隊長、現場責任者、管制へ相談します。

KYは警備員へ注意を押しつけるためではなく、現場そのものの危険を見つけるために行うものです。

KYで危険を挙げても、人数を増やさない、休憩を取らせない、無線不良を放置する会社では、隊員の注意だけで事故を防ぐのは難しいです。
教育や配置に不安がある人は、「危ない警備会社の見分け方」や「警備会社の選び方」も確認してみてください。

KYとヒヤリハットの違い

KYとヒヤリハットは、似た場面で使われますが、指しているものが違います。

種類何を指すか現場での使い方
KY作業前に危険を予測し、対策を決める活動今日の作業で起きそうな危険を考える
ヒヤリハット事故にはならなかったが、危険を感じた出来事起きた事例を共有し、次回のKYや再発防止へ活かす

たとえば、停止させた車が急に動き出したものの、事故にはならなかった。
これはヒヤリハットです。

その経験をもとに、次回のKYで「完全停止を確認してから無線連絡する」と決めれば、事故防止へつなげられます。

ミスや事故が起きた時の対応は、「警備員がミスするとどうなる?誘導事故の責任と対処法を現役管理職が解説」でも紹介しています。

そのまま使える交通誘導KYの記入テンプレート

今日のKYへすぐ使いたい人は、次の型をコピーして、〇〇の部分を現場に合わせて書き換えてください。

本日の作業内容
〇〇で、〇〇誘導を行う。

起こりそうな危険
〇〇が、〇〇と接触する。

危険が起きる原因
〇〇の見落とし、合図の遅れ、死角、無線ミスなど。

事故を防ぐ対策
〇〇する前に、〇〇を確認する。

本日の行動目標
〇〇を確認してから〇〇ヨシ。

「誰が、何と接触するか」「何をする前に、何を確認するか」の2つが入ると、かなり書きやすくなります。

たとえば、工事車両の出入り誘導なら、次のように書けます。

本日の作業内容
工事車両出入口で、大型車両の出入り誘導を行う。

起こりそうな危険
工事車両が、歩行者や自転車と接触する。

危険が起きる原因
大型車両へ集中し、歩道や反対車線を見落とす。

事故を防ぐ対策
工事車両を動かす前に、歩道・左右・反対車線を確認する。

本日の行動目標
歩道・左右・反対車線確認ヨシ。

まとめ|良いKYは現場で取る行動まで書かれている

交通誘導のKYで大事なのは、難しい言葉や立派な文章ではありません。
今日の現場で何が起こりそうかを考え、事故を防ぐ行動まで具体的に決めることです。

「事故に注意する」「周囲を確認する」だけで終わらせず、誰が何と接触しそうなのか、何をする前にどこを見るのかまで書いてみてください。

会社や現場で決められた方法を優先しながら、警備員全員が同じ安全行動を取れる内容になっていれば、現場で使えるKYになります。

空調服を着られない警備員へ

真夏の警備は、本当に過酷です。
炎天下やアスファルトの照り返しの中でも、警備員は決められた制服を着て仕事をしなければなりません。

最近は空調服を支給する警備会社も増えてきました。
ただ、会社や現場によっては、空調服タイプの制服が用意されていなかったり、自由に着用できなかったりすることもあります。

「制服を変えられない警備員でも、何かできる暑さ対策はないか」

私もずっと考えた結果、たどり着いたのが、薄手のペルチェベストを制服の下に着る方法です。

インナーとして着用できる薄手のタイプなら、外から見える警備制服を大きく変えずに、冷却プレートで身体を冷やせます。
商品によっては、空調服と組み合わせて使いやすいものもあります。

もちろん、ペルチェベストを着れば熱中症にならないわけではありません。
水分や塩分の補給、こまめな休憩、体調が悪いときの早めの申告も必要です。

それでも、毎年気合いだけで猛暑に耐えるより、身体を冷やせる装備をひとつ持っておく方が安心です。

空調服を着られない現場で働いている人は、制服の下から冷やすという方法も一度チェックしてみてください。

今年の夏も、無理だけはしないでくださいね。ご安全に!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

現役警備員として働きながら、警備業界のリアルを発信しています。
交通誘導・施設・雑踏警備を経験し、現在は管理職として現場と人材育成に携わっています。

保有資格:
・警備員指導教育責任者(1号・2号)
・交通誘導警備業務2級
・施設警備業務2級
・雑踏警備業務2級
・列車見張り(列車防護員)
・踏切監視員

これから警備員を目指す方や、現役で悩んでいる方に向けて「きついこともリアルに」分かりやすく発信していきます。

コメント

コメントする

目次