「入ったばかりの警備会社で、周りにまともな人がいない」
「これから警備業界へ踏み入りたいけど、まともな人はいるのか?」
「さっき誘導してきた警備員、まともな人じゃないわね……」
おそらく、この辺りの気持ちがあって、このページに辿り着いたのだと思います。
先に言っておきます。
警備員にまともな人はいます。
少数派かもしれませんけど。
かくいう私も、中卒・元ニート・転職多数。
おまけに、警備会社の面接へデニムのハーフパンツにカジュアルシャツで行くという暴挙。
「おやおや、リゾート帰りですかな?」
そう言われても文句は言えない格好でした。
どこから見ても、まごう事なき「まともじゃない側」の人間。
平たく言えば、クズです。
そんなクズだった私が、警備員のマトモについて考えてみました。
見えてきたものはシンプルでした。
この業界の「まともさ」の基準が、世間とは少し違っていました。
正直、警備業界には変な人もいる
警備業界には、正直に言って変な人もいます。
ここには綺麗ごとを書きません。
私自身、かなりイカれた経歴と生き様を背負ってこの業界へ入りましたが、現場には私以外にもクセの強い人たちがいました。
たとえば、超ストイックマン。
ストイックすぎるがゆえに、自分だけでなく、同僚・後輩・先輩・上司、全員へ完璧を求めてしまうタイプです。
たとえ新人が、
「今日が初めての現場です!」
と自己紹介した直後でも、超ストイックマンと一緒なら、人類皆平等とばかりにストイックの洗礼を受けます。
新人だから?そんな免罪符、彼の辞書にはありません。
次に、男梅みたいな隊員。
昭和を煮詰めて、融通という言葉をどこかへ置いてきたような隊員です。
もし通行者が彼の前で、ほんのわずかなルール違反をしたなら。
容赦なく己の正義を叩きつけられることでしょう。
相手が小学生だろうが、顔真っ赤バーサーカーおじさんだろうが関係ありません。
仕事中なら、相手が猫でも多分やります。
ここで気がついてほしいのですが、彼らには共通点があります。
正義感です。
一見マトモではない私たちですが、「マトモではないなりの正義感」はある訳でして。
超ストイックマンの洗礼を受けた新人は、3ヶ月後にはどこの現場でも恥ずかしくないレベルまで鍛えられます。
男梅隊員も、誰もが嫌がる対応を黙って引き受け、現場の平和を支えています。
もちろん、全員が良い人という話ではありません。
ただ、警備業界の「変な人」は、必ずしも「悪い人」と同じではない。
クセが強い。
距離感が独特。
融通もきかない。
でも、現場を守っている。
そういう人たちなんです。
……私は、彼らみたいにはなれませんけど。
変な人との付き合い方|警備員の人間関係をラクにするコツ
正直、人間関係に「これが正解!」みたいな攻略法はありません。
私も今だに失敗します。
ただ、警備の現場で一つ大事だと思っているのは、
「まず一度、相手を肯定すること」
です。
クセの強い人ほど、
「コイツはちゃんとやる気があるのか?」
を見ています。
だから最初から反論するより、
「そうですね」
と、一旦受け止める。
これだけでも、現場の空気はかなり変わります。
正直に言えば、相手を立てるのは「その方が自分が楽だから」でもあります。
現場が荒れると、結局しんどいのは自分です。
だから、相手を少し気持ちよくさせて、スムーズに動いてもらう。
これくらいの「軽い腹黒さ」は、警備の人間関係では結構大事だったりします。
……ちなみに私は、同僚から「腹黒クズ」と言われていました。
「ストイックマン」は、結果より「必死さ」を見せれば落ちる
新人的にしんどいのは、実は男梅タイプよりストイックマンです。
理由はシンプル。
求めてくるものが大きいから。
新人からすると、無線だけでも頭がいっぱいです。
そこへ、
- 周囲を見ろ
- 次を考えろ
- 声が小さい
- 車を止めろ
- 動きを読め
……と、一気に飛んできます。
普通にパンクします。
しかも、本人に悪気はありません。
ストイックマンからすると、それが「普通」だからです。
だからこそ、このタイプには「必死さ」を見せることが大事です。
完璧じゃなくていい。
でも、
「覚えようとしている」
「ちゃんとやろうとしている」
そこは意外と見ています。
ストイックマンは、仕事を見ている人です。
だから、少しずつでも出来ることが増えると、急に態度が軟化することがあります。
ツンデレです。
かなり怖いタイプの。
「男梅」は、ルールさえ守れば最強の味方になる
男梅タイプは、とにかく正義感が強いです。
ルール違反が嫌い。
中途半端も嫌い。
そして、ほんの少しの違反に対しても普通に怒ります。
だから、新人のうちは無理にぶつからなくて大丈夫です。
まずはルールを守る。
変に刺激しない。
それだけでも、だいぶ平和になります。
正直、男梅タイプは「そっとしておく」が最適解なことも多いです。
こちらがルール違反をしなければ、基本的には害がありません。
むしろ、現場を守ろうとしている気持ちは本物だったりします。
猫にも正義感を叩きつけそうな彼ですが、ルールを守る味方に対しては、かなり頼りになることもあります。
警備員には特別な権限はありません
ただ、一つだけ忘れてはいけないことがあります。
警備員には、特別な権限(強制力)はありません。
だから、男梅のように正義感を振り回して怒鳴るのが「まともな仕事」ではない。
本当のプロは、現場の空気を守り、安全に仕事を回すことへ全力を尽くします。
以前、男梅隊員が歩行者を厳しく止めすぎて、逆に危なくなりそうな場面がありました。
そこで、
「安全を優先しましょう」
と伝えたところ、不服そうではありましたが、最終的には誘導方法を変えてくれました。
もちろん、新人のうちから無理に注意する必要はありません。
まずは現場を覚えることが先です。
ただ、仕事に慣れ、立場が上がったなら。
「現場を安全に回すための意見」を言える警備員になってほしいと思います。
まともな警備員の役割は、怒鳴ることではありません。
現場の空気を守り、安全に仕事を回すことです。
「警備員は、やめとけ」と言われる理由
警備員について調べると、
「底辺」 「やめとけ」 「人生終わり」
そんな言葉が、かなりの確率で出てきます。
正直、気持ちはわかります。
実際、そう見られやすい理由もあるからです。
現役世代の仕事に見られにくい
警備員というと、
「定年後のおじいちゃんがやる仕事」
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
「若いうちから警備員なんてやめとけ」
そう言われることもあるでしょう。
ただ、逆に言えば。
若いうちから資格を取り、経験を積み、現場を覚えていけば、かなり強い業界でもあります。
実際、私自身も資格を取り、管理側へ進み、気づけばマイホームまで建っていました。
人に自慢しにくい仕事だと思われやすい
警備員の仕事は、正直、人に自慢しにくいと感じる人も居ると思います。
私も昔、警備会社へ入ったことを説明するとき、少しだけ言葉に詰まりました。
なにせ、面接はデニムのハーフパンツ。
「おやおや、リゾート帰りですかな?」
そう言われても文句は言えない男です。
でも、仕事の価値は「人に自慢できるか」で決まるものではありません。
誰かが立っているから現場が回る。
誰かが見ているから事故が減る。
その地味な積み重ねが、警備の仕事です。
人間関係が濃すぎる現場もある
警備員の人間関係は、現場によってかなり差があります。
淡々と働ける現場もあれば、クセの強い人間が密集している現場もある。
ストイックマン。
男梅。
いろんな人が居ます。
「警備員にまともな人がいない」
そう感じる不安の正体は、この人間関係の濃さから来ていることも多いです。
環境が過酷な現場もある
交通誘導や雑踏警備では、夏の暑さ、冬の寒さ、雨、風、排気ガスと戦う日があります。
真夏のアスファルトは、ほぼフライパン。
冬の夜勤では、ホットの缶コーヒーが簡単に裏切り、アイスに近づいていきます。
こういう現場を経験すると、
「これは底辺と言われても仕方ないかもしれない」
自分でもそう思う瞬間があります。
ただ、この辺りのリアルについては、別記事でかなり本音を書いています。
→ 「世間の厳しい目や『底辺』という偏見に対して、現役隊員としての想いは[こちらの記事で魂を込めて書いています。気になる方はあわせて読んでみてください
給料や安定性に不安を持たれやすい
警備員は、最初から高給取りになれる仕事ではありません。
日給制の会社もありますし、現場数や勤務日数で収入が変わることもあります。
だから、「安定しない」「給料が安い」と見られることもあります。
ただ、会社選びや資格、現場経験、役職によって収入はかなり変わります。
実際、私自身も警備業界で資格を取り、管理側へ進み、年収500万円を超えるところまで来ることができました。
警備で稼ぐ方法や、会社選びの考え方については、こちらで詳しく書いています。
→ 警備員の給料は安い?年収500万円になった現役警備員が解説
でも「普通に働ける人」は現場でかなり重宝される
ここまで読むと、
「やっぱり警備業界ってヤバいじゃないか」
そう思うかもしれません。
半分正解です。
でも、だからこそ「普通に働ける人」はかなり重宝されます。
警備業界で評価される「まともさ」は、世間一般のまともさとは少し違います。
- 遅刻しない
- 無断欠勤しない
- 嘘をつかない
- 挨拶ができる
- 報告・連絡・相談ができる
- 鍵や備品を雑に扱わない
- ルールを守る
これだけで、かなり強い。
本当に。
「そんな当たり前のこと?」
と思うかもしれません。
でも、その当たり前を毎日続けられる人は、現場ではかなり貴重です。
学歴がなくても。
転職が多くても。
人付き合いが少し苦手でも。
真面目に来て、少しずつ覚えていける人は、ちゃんと評価されます。
ちなみに、警備員に向いている人は「コミュ力最強の陽キャ」みたいな人だけではありません。
一人でコツコツ動ける人や、ルールを真面目に守れる人の方が向いている現場もあります。
交通誘導・施設警備・雑踏警備など、警備の種類によって向き不向きもかなり変わります。
警備業界には、本当にまともな人もいる
私の警備業の原点として、忘れられない女性警備員がいます。
手旗と無線機を同時に扱えないとき、笑いながらコツを教えてくれました。
面倒臭そうに立っていると、厳しく指導してくれました。
上達したら褒めてくれる。
資格を取った時も、出世した時も、一緒に喜んでくれました。
彼女は、間違いなくマトモでした。
そのおかげで、私も「人としてだけは」少しマトモになれた気がしています。
警備業界には、変な人もいます。
でも、ちゃんと人を見てくれる人もいます。
新人を育てようとしてくれる人もいます。
不器用でも、現場を守ろうとしている人もいます。
そういう人たちに出会えるかどうかで、この業界の見え方はかなり変わります。
「まともじゃない」と思っている人ほど、警備業界で変われることもある
世間の「まとも」から外れてしまった。
学歴がない。
職歴がぐちゃぐちゃ。
人間関係が苦手。
自分はダメ人間だと思っている。
そんな人でも、警備業界で変わることはあります。
警備の世界は、過去の経歴よりも「今、現場でどう動くか」を見られる世界です。
昨日まで何をしていたかより、今日ちゃんと来るか。
立てるか。
ルールを守れるか。
困った時に報告できるか。
そういう積み重ねで、少しずつ信頼されていきます。
私も最初から立派だった訳ではありません。
むしろ、かなり怪しいスタートでした。
それでも、警備業界のルールに乗り、資格を取り、現場で続けてきたことで、少しずつ景色が変わりました。
警備業界は、終わった人の集まりではありません。
もう一回ちゃんと生きたい人が、再装備しに来る武器庫みたいな場所でもあります。
まとめ|警備員の「まともさ」は、世間の基準とは少し違う
警備員にまともな人は居ます。
ただし、少数派かもしれません。
そして、かなりクセが強い人もいます。
変な人もいます。
でも、ちゃんと人を見て育ててくれる人もいます。
私自身、そういう人に出会えたから、少しだけまともになれた気がしています。
ストイックマンや男梅は、嫌われることを恐れず今日も現場に立っています。
私にはそれが出来ない。嫌われるのが怖いから。クズのままである。
それでも、そんな私でも、警備業界では少しずつ積み上げることができました。
もし今、自分はまともじゃないと思っているなら。
警備業界という選択肢を、一度見てみてもいいと思います。

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