「駐車場警備は、空いている場所へ車を案内するだけ?」
「道路工事の交通誘導より楽そう」
「コインパーキングを巡回する仕事も、駐車場警備に入るの?」
駐車場警備という言葉は、かなり広い意味で使われています。
求人票に同じような名前が書かれていても、実際の仕事内容がまったく違うことがあります。
求人で「駐車場警備」や、それに近い名前で募集される仕事には、大きく2つのタイプがあります。
- 店舗やイベント会場で、車両と歩行者を誘導する交通誘導警備
- コインパーキングを巡回し、設備や利用者のトラブルへ対応する仕事
ただし、この2つが法律上、同じ種類の警備業務に分類されるわけではありません。
コインパーキング対応では、会社や契約によって、機械警備、設備管理、集金などの仕事を同じ隊員が担当することがあります。
この記事では、両方の仕事を経験した立場から、仕事内容、きついところ、実際に起きた駐車場トラブルまで解説します。
求人で見かける駐車場警備の2タイプを比較
最初に、2つの仕事の違いを簡単に整理します。
| 仕事のタイプ | 主な現場 | 主な仕事内容 | 主なきつさ |
|---|---|---|---|
| 駐車場誘導 | 店舗、商業施設、公共施設、イベント会場 | 入出庫誘導、歩行者誘導、空車案内、満車対応、利用者への声かけ・案内 | 暑さ・寒さ、立ち仕事、車と歩行者の同時確認、満車時の説明 |
| コインパーキング対応 | 時間貸し駐車場、立体駐車場など | 巡回、設備トラブル、事故確認、集金、利用者対応 | 一人での急行、設備確認、夜間対応、怒っている利用者への説明 |
駐車場誘導は、車両や歩行者の事故を防ぐ交通誘導警備です。
コインパーキング対応は、警報や連絡を受けて設備や利用者のトラブルを確認する仕事です。
契約によって、警備業務と駐車場管理業務が混ざります。
警備業務全体の違いは、「警備員の種類と仕事内容の違い」でも解説しています。
駐車場誘導は出入口と場内で仕事内容が違う
店舗やイベント会場で行う駐車場誘導は、大きく出入口と場内の仕事に分けられます。
出入口での誘導
出入口では、駐車場へ入る車、道路へ出る車、歩道を通る歩行者や自転車などを確認します。
- 入場車両と出庫車両の整理
- 車両同士の接触防止
- 車両と歩行者・自転車の安全誘導
- 入庫待ち車列の整理
- 満車時の入場停止や案内
- 施設周辺の交通状況の確認
出入口は、敷地内と一般道路が交わる場所です。
入ってくる車だけを見ていると歩行者を見落とし、歩道だけを見ていると出庫車や後続車が詰まることがあります。
満車時には、ただ車を止めれば終わりではありません。
入場できないこと、待機できる場所、別の駐車場の有無などを、運転手へ分かるように伝えます。
場内での誘導
場内では、車を空いている区画へ案内しながら、車両同士や歩行者との接触を防ぎます。
- 空車スペースへの案内
- 入場車両と出庫車両の整理
- 場内を走る車両同士の接触防止
- 後退車両と歩行者の安全確認
- 逆走や通路を塞ぐ車両への案内
- 出口までの進路案内
駐車場内は、一般道路より車の速度が遅いことが多いです。
ただし、空車を探して周囲をよく見ていない運転手、突然後退する車、車の間から出てくる歩行者もいるため、簡単とは限りません。
駐車場誘導は交通誘導に案内業務が加わった仕事
駐車場で車両や歩行者を誘導する仕事は、業務区分としては交通誘導警備です。
ただ、実際に働くと、車を動かすための合図だけでは終わりません。
「こちらの列へお進みください」
「現在、駐車場は満車です」
「歩行者が通りますので、少々お待ちください」
こうした利用者への案内や声かけも行います。
警備現場では、このように利用者へ情報を伝えることを「広報」と呼ぶ場合がありますが、広告や宣伝のことではありません。
イベント会場や店舗では、挨拶や来場者対応を求められることもあります。
警備員の対応が、その施設の第一印象になる場合もあります。
私の感覚では、仕事の7〜8割は交通誘導です。
残りの2〜3割に、来場者への案内、満車時の説明、列の整理など、雑踏警備や接客に近い対応が混ざります。
雑踏警備そのものではありません。
ただ、働く側の感覚としては、交通誘導と雑踏警備の中間に近い部分があります。
駐車場誘導がきついと言われる理由
駐車場誘導は、道路工事の交通誘導より簡単そうに見えるかもしれません。
しかし、混雑する現場ではかなり忙しくなります。
車と歩行者を同時に確認する
駐車場には、入場車両、出庫車両、駐車中の車、後退車両、歩行者、自転車などがいます。
目の前の1台だけを見ていると、別の方向から動き始めた車や歩行者を見落とします。
空車スペースを案内しながら、その先の通路が詰まっていないか、対向車が来ていないかまで確認しなければなりません。
満車時は説明やクレーム対応が増える
長時間並んだ後に満車と言われれば、運転手が不満を感じるのは自然です。
警備員が駐車台数を増やせるわけではありませんが、最初に話を聞くのは入口にいる警備員です。
待ち時間、空車状況、別駐車場への案内が曖昧だと、さらに怒られることがあります。
誘導技術だけでなく、落ち着いて説明する力も必要です。
暑さ・寒さ・立ち仕事がある
屋外の駐車場では、夏の暑さ、冬の寒さ、雨、アスファルトからの照り返しを受けます。
イベントや繁忙期には車が途切れず、気を抜きにくい時間が続くこともあります。
暑い時期の注意点は、「警備員の熱中症対策」でも詳しく解説しています。
入場車両を全員出口へ送っていた警備員
駐車場誘導では、目の前の車を動かすだけでなく、駐車場全体の流れを見る必要があります。
以前、私が立体駐車場の屋上から、平面駐車場の様子を見ていた時のことです。
入場車両と出庫車両が交わる交差点に、1人の警備員が立っていました。
車両の多さに混乱し、途中から何が何だか分からなくなったのだと思います。
その警備員は、入場してきた車も出庫する車も、すべて出口の方向へ誘導し始めました。
警備員の合図に従い、ズンドコズンドコ出口へ進んでいく入場車両たち。
気づいた時には目の前が出口で、後ろにも車が続いているため、引き返せません。
当然、出口に配置されていた警備員は、次々に運転手から怒られます。
しかし、出口の警備員は自分が間違えて案内したわけではないので、なぜ怒られているのか分かりません。
上から見ていた私には原因が分かりますが、出口では意味も分からないまま怒られ続ける地獄絵図になっていました。
この現場では、入場まで1〜2時間並ぶこともありました。
それだけ待って入場した直後に出口へ送られ、もう一度最後尾から1〜2時間並んでくださいと言われれば、温厚な人でも怒ると思います。
ホンネちゃん待ち時間2時間。
滞在時間1分。
お帰りはこちらだよ✨
このような混乱を防ぐには、入場車なのか出庫車なのか、その先がどこへつながっているのかまで確認して誘導します。
分からなくなった時は、無理に流さず、一度止めて責任者や相方へ確認した方が安全です。
警備員を立たせない方が分かりやすい場所もある
警備員を配置すれば、必ず車の流れがよくなるわけではありません。
入場車両と出庫車両が入り乱れ、瞬時に進路を判断しにくい場所へ警備員を立たせると、合図によって余計な混乱を作ることがあります。
現場の配置計画や施設側の方針にもよりますが、そのような場所では「出口はこちら」という看板を見やすく設置し、ドライバー自身に進路を判断してもらった方が分かりやすい場合もあります。
警備員の仕事は、何でも手で誘導することではありません。
人が合図した方がいい場所と、看板で伝えた方がいい場所を見分け、余計な混乱を作らないことも大切です。
コインパーキングの巡回・トラブル対応
駐車場に関係するもう一つの仕事が、コインパーキングの巡回・トラブル対応です。
私がいた会社では機械警備員が担当していましたが、行っていた仕事のすべてが法律上の機械警備に当たるわけではありません。
法律上の機械警備業務は、センサーや非常通報装置などの警備用機械装置を使用して行う1号業務です。
会社によっては、警報を受けて現場へ急行する機械警備と、精算機の確認、用紙補充、簡単な清掃、集金などの駐車場管理業務を、同じ隊員が担当しています。
私が経験した主な仕事は、次のとおりです。
- ゲートバーの折損や動作不良
- 発券機から駐車券が出ないトラブル
- 精算機の故障や紙幣・硬貨の詰まり
- フラップ板が上がらない、下がらないトラブル
- 車両が駐車場設備へ接触した事故の確認
- 場内設備の破損や異常の確認
- 売上金の集金
- 利用者からの問い合わせや苦情への対応
契約内容によっては、駐車券やレシート用紙の補充、つり銭の確認、簡単な清掃、設備点検などを行うこともあります。
売上金の集金も行っていましたが、集金や現金の取り扱いがすべて機械警備に含まれるわけではありません。
会社や契約によって、機械警備とは別の業務や、駐車場管理の付随業務として担当する場合があります。
警報や連絡を受けたら現場へ向かい、利用者から状況を聞き、設備を確認します。
その場で復旧できない場合は、管制、駐車場の管理会社、修理業者などへ報告します。
コインパーキング対応がきつい理由
呼ばれた時点ですでに相手が困っている
精算できない、ゲートが開かない、フラップ板が下がらないなど、利用者は困った状態で警備員を待っています。
急いでいる人や長時間待たされている人は、現場へ到着した警備員へ強い口調で話すこともあります。
まず状況を聞き取り、何が起きているのかを整理しなければなりません。
現場へ行っても解決できないことがある
機械のリセットや簡単な処置で復旧できることもあります。
一方で、部品が壊れている、車両が設備へ接触している、専門業者でなければ修理できないなど、警備員だけでは解決できないトラブルもあります。
その場合でも、何もせず帰るわけにはいきません。
利用者への説明、管理会社への報告、現場の記録、必要な連絡を進めます。
一人で対応する場面が多い
コインパーキング対応は、一人で車に乗り、複数の契約先を回ることがあります。
夜間や人通りの少ない場所で、設備確認や利用者対応を行う場合もあります。
自分で判断できない時に、すぐ管制や上司へ確認できる体制があるかは大切です。
出口を塞がれ、全車両が出られなくなった
コインパーキングのトラブルは、機械の故障だけではありません。
以前、舗装されておらず、駐車枠がはっきりしていないコインパーキングで問題が起きました。
その駐車場には、出入口が1か所しかありませんでした。
そこへ1台の車が、出入口を塞ぐように駐車していたんです。
その結果、駐車場内にいたすべての車が出庫できなくなっていました。
出られない利用者は、当然かなり怒っています。
しかし、少なくとも現場へ来た警備員の判断だけで、その車を勝手に移動させることはできませんでした。
警察にも来てもらい、対応を進めた結果、持ち主は電車で県外へ出ていることが分かりました。
持ち主はすぐに戻れない。
車は動かせない。
駐車場内の車も出られない。
現場へ急行しても、必ずその場で解決できるとは限りません。
警備員は、怒っている利用者へ状況を説明しながら、管制、管理会社、警察などと連絡を取り、できる対応を一つずつ進めます。



持ち主は県外。
車は出口。
みんな出られないワケ。
駐車場誘導とコインパーキング対応はどちらが向いている?
同じ駐車場に関係する仕事でも、向いている人は少し違います。
| 仕事 | 向いている人の特徴 |
|---|---|
| 駐車場誘導 | 周囲を広く見られる、声を出して案内できる、複数人で連携できる |
| コインパーキング対応 | 一人で落ち着いて動ける、機械の状態を確認できる、利用者の話を整理できる |
駐車場誘導は、多数の車両と歩行者を同時に確認する仕事です。
人前で声を出し、無線で周囲と連携することも多くなります。
コインパーキング対応は、一人で現場へ向かい、設備や利用者の状況を確認する仕事です。
運転、機械の確認、報告、利用者対応を落ち着いて進める力が求められます。
どちらが楽かは一概に言えません。
大勢の車をさばく忙しさが合う人もいれば、一人でトラブルへ対応する方が合う人もいます。
求人票では駐車場警備の中身まで確認する
求人票に「駐車場警備」とだけ書かれている場合は、具体的な仕事内容を確認した方がいいです。
- 店舗やイベント会場での車両誘導か
- 出入口と場内のどちらへ配置されるか
- 満車時の声かけや利用者対応があるか
- 屋外での立ち仕事は何時間程度か
- 何名で配置されるか
- コインパーキングを車で巡回する仕事か
- 夜間の一人勤務があるか
- 集金や現金の取り扱いがあるか
- どこまで設備トラブルへ対応するか
- 困った時に管制や責任者へ連絡できるか
「駐車場だから簡単そう」と名前だけで決めると、想像していた仕事と違う可能性があります。
警備会社を選ぶ時の確認ポイントは、「警備会社の選び方|未経験が失敗しないために見るべきポイント」でも解説しています。
求人を見る時は、日給や勤務地だけでなく、誘導業務なのか、コインパーキングの巡回対応なのかまで比較してみてください。
まとめ|駐車場警備は求人名だけでは仕事内容が分からない
求人で駐車場警備と呼ばれる仕事には、店舗やイベント会場で車両・歩行者を誘導する仕事と、コインパーキングを巡回してトラブルへ対応する仕事があります。
駐車場誘導は、業務区分としては交通誘導警備です。
ただし、実務では空車案内、満車時の説明、来場者への声かけなど、雑踏警備や接客に近い対応も混ざります。
コインパーキング対応では、ゲートバー、発券機、精算機、フラップ板などのトラブル、接触事故、集金、利用者対応などを行います。
会社によって、機械警備と駐車場管理業務を同じ隊員が担当することもあります。
どちらにも、それぞれ違った忙しさと難しさがあります。
求人を見る時は「駐車場警備」という名前だけで判断せず、実際にどこで何をする仕事なのかまで確認してください。









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