「警備員の仕事は、AIやロボットに奪われる?」
「今から警備員になっても将来性はある?」
「施設警備と交通誘導なら、どちらが残りやすい?」
AIカメラ、顔認証、遠隔受付、警備ロボット、交通誘導システム。
警備業界でも、人の代わりに監視や誘導を行う技術が少しずつ導入されています。
私は施設警備、機械警備、交通誘導、雑踏警備を経験し、現在は警備員の配置や教育にも関わっています。
その立場から先に結論を言うと、警備員という仕事が近いうちになくなる可能性は低いです。
ただし、仕事が残ることと、今と同じ配置人数が残ることは別です。
これから起きるのは、警備員が一斉にAIへ置き換わる未来ではありません。
3人で行っていた警備を、機械と1人の警備員で行う。
そんな省人化が先に進むと考えています。
施設警備と交通誘導はどちらが残りやすい?
先に比較すると、配置人数を減らしやすいのは施設警備、現場条件によって人が残りやすいのは交通誘導だと考えています。
| 業務 | AI化の影響 | 人に残りやすい仕事 |
|---|---|---|
| 施設警備 | 固定施設へ機器を常設できるため、受付・監視・巡回の配置人数を減らしやすい | 異常確認、鍵管理、通報、警察・消防対応、来訪者対応 |
| 交通誘導 | 単純で固定された現場は機械化しやすいが、現場ごとに条件が変わると導入や使い回しが難しい | 脇道・歩行者への対応、現場調整、作業員との連携、苦情対応 |
ただし、交通誘導なら必ず安心という意味ではありません。
長期間続く片側交互通行や、出入口が固定された現場では、交通誘導でも機械化が進む可能性があります。
反対に施設警備でも、AIの通知を確認し、異常時に現場で判断できる警備員は必要です。
業務名だけでなく、機械に置き換えにくい役割を担当できるかが将来性を左右します。
警備員の仕事が近いうちになくなる可能性は低い
警察庁が2025年12月に公表した資料では、2025年9月時点における警備業の有効求人倍率は6.70倍です。
全職業平均の1.10倍を大きく上回っています。
警備の仕事に対して、働く人が足りていない状態です。
2024年末時点の警備員数は、全国で約58万8,000人。
そのうち60歳以上が47%、65歳以上が34.3%、70歳以上が20.9%を占めています。
警備員の約2人に1人が60歳以上で、約5人に1人が70歳以上です。
80代でも働けるのは警備業の強みであり弱みでもある
実際、私の周りにも80代で現場隊長をしている人がいます。
休みの日には山へ登り、自転車で片道50キロほど走り、しかもその日のうちに帰ってくる。
意味が分からないくらい元気です。
なぜそこまで動くのか聞いたところ、笑いながらこう言っていました。
「若くありたいんだよ!」
年齢を重ねても現役で働ける門戸があることは、警備業の強みです。
一方で、業界を支える人の半数近くが60歳以上という状態は、将来安泰の証明ではありません。
若い人が集まらず、高齢者へ頼っているからこそ、機械を使って少ない人数で回す必要性も高まっています。
70歳から警備員を始める場合の現実や、仕事の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
70歳から警備員になれる?施設警備より交通誘導が狙い目な理由
国も警備業の省人化を進めている
警察庁は、警備ロボット、バーチャル警備、警備ドローン、交通誘導システムなどを活用し、警備業務を省力化する方針を示しています。
現場だけではありません。
警備員の配置、上下番報告、給与計算など、管制や事務作業のシステム化も対象です。
目標は、2024年度と比べて、警備業の労働生産性を2029年度までに25%向上させること。
つまり国も、人手不足を警備員の採用だけで解決しようとしているわけではありません。
仕事はあるものの、必要な人数は機械やシステムで減らしていく方向です。
ホンネちゃん仕事は残る。
でも、「その現場に3人も必要?」は始まるってワケ。
なお、求人が多いことと、給料が高いことも同じではありません。
警備員の収入や、会社によって給料が変わる理由は以下の記事で詳しく解説しています。
警備員の給料は安い?現役警備員が語る年収500万円の現実と稼ぎ方
ここまで紹介した求人倍率、年齢構成、省力化の方針は、警察庁の公表資料で確認できる事実です。
ここから先の「どの仕事から人数が減るのか」は、1号警備と2号警備の両方を経験し、現在は管理側にもいる私の予測として読んでください。
施設警備などの1号業務は配置人数を減らしやすい
私がAIや機械の影響を受けやすいと考えているのは、施設警備を中心とした1号業務です。
施設警備の現場では、建物、門、出入口、来訪者の動線、巡回経路、警戒する場所が基本的に動きません。
一度現地を調査し、カメラやセンサーの数と設置場所を決めれば、その設備を同じ施設で長く使えます。
| 現在の仕事 | 考えられる省人化 |
|---|---|
| 受付・出入管理 | 顔認証、ICカード、車両ナンバー認識、ゲートバー、遠隔受付 |
| モニター監視 | AIによる侵入、滞留、異常行動などの検知 |
| 巡回 | カメラやセンサーで監視し、異常が出た場所だけ人が確認 |
| 夜間常駐 | 遠隔監視と少人数による異常対応 |
受付だけ、巡回だけを機械へ置き換えるのではありません。
受付、出入管理、巡回、モニター監視を組み合わせ、現場全体の配置人数を減らす形が考えられます。
受付と出入管理はゲートバーと組み合わせやすい
受付や出入管理では、顔認証、ICカード、車両ナンバーの読み取り、ゲートバー、事前登録システムなどを組み合わせられます。
完全な無人化が難しくても、それぞれの門へ警備員を置くのではなく、離れた場所から1人がまとめて確認する運用は可能になるでしょう。
巡回とモニター監視は一つの仕事に近づく
これまでの施設警備では、警備員が決められた時間に巡回し、別の警備員が防災センターでモニターを監視する配置があります。
AIカメラが普及すれば、施設全体を常時監視し、侵入、長時間の滞留、転倒、放置物などの違和感を検知した時だけ、警備員が確認へ向かう形に近づくと思います。
赤外線センサーは、何かが横切ったことを検知できます。
AIカメラなら、映像や人の動き方も分析し、従来より細かな違和感を見つけられる可能性があります。
施設警備は機械警備に近い形になる
私は機械警備も経験しています。
機械警備では、普段はセンサーが施設を監視します。
異常を検知した時だけ警備員が現場へ向かい、外周や建物内を確認し、必要に応じて警察や消防へ引き継ぎます。
AI化が進んだ施設警備も、この形に近づくのではないでしょうか。
複数の警備員が施設内で待機するのではなく、AIやセンサーが監視し、異常が起きた時に少人数の警備員が動く。
施設警備と機械警備の境目が、今より薄くなると予想しています。
警備会社が動かなくても、お客さん側がAIを導入できる
1号業務が省人化しやすい理由は、警備会社だけでなく、警備を依頼するお客さん側にも設備を導入する理由があるからです。
たとえば工場が、毎年支払っている保安費を減らすために、AIカメラ、センサー、ゲートバー、入退室管理システムを導入することもできます。
工場や建物は動きません。
一度設置した設備を、同じ場所で何年も使えます。
初期費用が高くても、警備員を3人から1人へ減らすことで数年後に回収できるなら、工場側には設備投資をする理由があります。
つまり、警備会社がAI化に消極的でも、契約先から「設備を導入したので、来月から配置人数を減らします」と言われる可能性があるということです。
交通誘導は現場条件と採算がAI化の壁になる
交通誘導にも、AIや機械は入っていくと思います。
警察庁の資料でも、接近する車両、歩行者、二輪車を検知して警備員へ知らせる交通誘導システムや、LED表示板を遠隔操作する仕組みが紹介されています。
ただし、技術的に使えることと、さまざまな現場で採算が合うことは別です。
条件が固定された現場は機械化しやすい
交差点や脇道がない一本道で、同じ規制が長期間続く片側交互通行なら、いわゆるAI信号機のような機器を導入しやすいと思います。
土場から出入りするダンプの誘導も、比較的機械化しやすいでしょう。
- 出入口が固定されている
- 車両の進行方向を予測しやすい
- 機械を設置する場所が変わらない
- 同じ誘導が長期間続く
このような現場は、2号業務でありながら、固定施設に近い条件を持っています。
次の現場でも同じ機械を使えるとは限らない
問題は、その工事が終わった後です。
次の規制範囲内に脇道があれば、そこを監視するカメラやセンサーが追加で必要になるかもしれません。
出入口が複数あるコンビニの駐車場があれば、すべての出入口へ機械を置くのでしょうか。
駐車場内を斜めに横切る車、歩行者、自転車、突然出入りする工事車両にも対応しなければなりません。
人間なら、周囲を見ながら必要な場所へ走り、1人で複数の動線に対応できる場面があります。
しかし機械は、自分で数メートル先へ移動できません。
監視する場所が増えるほど、必要な機器も増える可能性があります。



人間なら1人が走れば済む。
機械は走れないから、必要な場所すべてに置くってワケ。
使える条件が限られる機械へ大金を払えるのか
交通誘導用の機械には、本体代だけでなく、運搬、設置、撤去、電源、通信、保守点検、故障対応などの費用もかかります。
一本道では使える。
しかし次の現場では追加機器が必要になり、その次では条件が合わず、結局警備員を配置する。
使える条件がぴったり合う時にしか動かせない機械へ、警備会社や工事会社が大金を払い、何年で元を取れるのか。
交通誘導の機械化で大きな壁になるのは、性能よりも使い回しと採算だと考えています。
そのため、交通誘導ではすべてを機械へ置き換えるより、単純な部分を機械へ任せ、脇道、店舗出入口、歩行者対応などを人が担当する形が現実的です。
AI時代にも必要とされる警備員はどんな人?
AI時代に必要とされるために、警備員がプログラミングまで覚える必要はないと思います。
ただし、AIや機械に何ができて、何が苦手なのかを、何となくでも理解している人は重宝されるでしょう。
施設警備ではAIの限界を理解できる人
AIが異常を検知しても、それだけですべてが解決するわけではありません。
- 現場へ行って状況を確認する
- 誤報か本当の異常かを判断する
- 預かっている鍵を正しく扱う
- 警察や消防へ通報する
- 契約先や来訪者へ状況を説明する
こうした仕事は人間に残ります。
さらに、AIがどのような場面で誤検知しやすいのか、どこから人間が確認すべきなのかを理解していれば、現場でも頼られます。
専門的な技術者になる必要はありません。
AIの融通が利くところと、利かないところをふんわりとでも理解できる人が強くなると思います。
交通誘導では人間関係を作れる人
交通誘導で最後まで必要とされる能力は、今と大きく変わらないと思っています。
人間関係を作れることです。
工事責任者と打ち合わせをする。
作業員や相方と声を掛け合う。
一般車や歩行者へ角を立てずに説明する。
近隣住民から苦情が出たら、話を聞いて現場へ伝える。
AIは接近する車両を検知できても、怒っている住民が本当は何に困っているのかまでは簡単にくみ取れません。
相方が新人なら、緊張をほぐしながら動きを合わせる必要もあります。
問題が起きそうなら、事故になる前に工事責任者や管制へ伝えなければなりません。



AIは車を検知できても、
怒った住民と仲直りまではしてくれないってワケ。
資格も将来の選択肢を増やしますが、資格だけでは十分ではありません。
資格があり、人と関係を作れ、問題を早めに報告できる人が強いです。
警備員が取れる資格や、優先して狙いたい資格は以下の記事で整理しています。
警備員の資格一覧|おすすめ・難易度・本当に必要な資格を現役が本音で解説
将来性があるかは警備会社によっても変わる
警備の仕事が残っても、すべての警備会社が同じように成長するとは限りません。
新しい機械やシステムを拒絶する会社より、機械へ任せられる仕事は任せ、人にしかできない仕事へ警備員を回せる会社の方が強くなるでしょう。
- 資格取得や教育へ投資している
- 配置や上下番の管理をシステム化している
- 機械を導入する目的を警備員へ説明できる
- ライフライン工事などの継続案件を持っている
- 日当保証や資格手当を分かりやすく説明している
省人化で会社だけが得をするのか。
それとも、機械で警備員の負担を減らし、残った人の給料や働き方も改善するのか。
同じAI導入でも、働く側の未来は会社によって変わります。
求人票や面接で確認したいポイントは、以下の記事で管理側の視点から解説しています。
警備会社の選び方|求人票・現場・面接で見るべきポイントを現役管理側が解説
今の会社に将来性を感じないときはどうする?
警備員の仕事がなくなるか心配している人の中には、業界全体よりも、今いる会社に不安を感じている人もいると思います。
- 仕事量が安定しない
- 日当が何年も上がらない
- 資格を取っても評価されない
- 教育も説明もなく現場へ送られる
この状態なら、警備業界そのものを辞めなくても、会社を変えるだけで状況が改善する可能性があります。
ただ、警備を続けるべきか、別の仕事へ移るべきか、まだ決めきれない人もいるでしょう。
そんな時は、いきなり求人へ応募する前に、今の経験、希望する収入、避けたい働き方を一度整理する方法があります。
警備を続ける場合と、別の仕事へ移る場合を比べることで、自分が優先したい条件も見えやすくなります。
警備を続けるか迷っている人へ
いきなり応募せず、まず今後の方向を整理する
転職するか迷っている人へ
サクキャリマッチでは、
『今の仕事を続けるか、別の仕事へ進むか』
を含めて、今後の働き方を無料で相談できます。


警備を辞めたいけど
『次に何をすればいいか分からない』
という人が、求人へ応募する前に考えを整理したいときに使えるサービスです。
👇転職を決めていなくてもOK!
警備を続ける方向が決まっている人は、同業転職で何が変わるのかも確認してみてください。
警備会社から別の警備会社へ転職するのはアリ?同業転職で変わることを解説
まとめ|AI時代に残るのは人と機械の間に立てる警備員
警備員という仕事が、AIやロボットによって近いうちになくなる可能性は低いです。
ただし、人が立っているだけで成立していた配置は、AIカメラ、センサー、認証システム、交通誘導システムによって減る可能性があります。
AI時代に必要とされるのは、AIと競争する警備員ではありません。
機械へ任せられる仕事は任せ、異常が起きた時に動き、人と人の間に立てる警備員です。
警備の仕事は続けたい。
でも、今の会社では資格や経験が給料に反映されず、将来の働き方も見えない。
そんな人は、警備業界を辞める前に、同じ経験を別の会社がどう評価するか確認してみてください。
今より日当が高い求人、資格手当がある会社、固定現場や長期案件を持つ会社が見つかる可能性があります。
今の経験を活かせる警備求人を確認する
日当・資格手当・勤務地を比べてみる









コメント